長野県

年度

令和5年度

事業名

信州アーツカウンシル事業
(旧・長野県文化芸術施策推進体制整備事業)

事業規模

国庫補助額 2.3 千万円(総事業費 11.6 千万円)

事業の
ポイント

アーツカウンシルによる広域中間支援

主な事業内容
事業の概要

 信州アーツカウンシルの中間支援のための事業と体制を充実するとともに、県内の諸課題に対し、文化芸術の力を生かしながら先導的に取り組む施策を推進。あわせて、情報発信の仕組みを整える。これらにより、地域における担い手の発掘と人材育成、連携・協働する団体の増加を進めていく。

■ 専門スタッフによる寄り添い型の支援
 専門スタッフが中心となって中間支援事業(助成、相談・助言、大学等との協働等)と直接実施事業(脱炭素・循環型社会に向けた取組やアーティスト・イン・レジデンス(NAGANO ORGANIC AIR)、 県内学芸員の協働による美術展(シンビズム)等)を通して、地域において持続的な活動を担う人材の育成や、活動を行う団体等の基盤強化に貢献する。

■ 多様な団体等が参画する推進体制と運営主体
 信州大学、民間の文化財団、南信州民俗芸能継承推進協議会、県障がい者芸術文化活動支援センター、(公財)長野県みらい基金、市町村等との連携・協働により中間支援の体制を構築。

■ アドバイザリーボードからの助言・評価
 外部有識者等で組織する「アドバイザリーボード」の助言を受け、事業や体制の改善、評価方法の構築を図る。

事業の実施体制
関係者インタビュー

<お話をお伺いした方>

<長野県>
県民文化部 文化振興課 芸術文化係 小林 耕太氏

<信州アーツカウンシル>
アーツカウンシル推進局長 峯村 高広氏
ゼネラルコーディネーター 野村 政之氏
(インタビュー実施:R6.11)

ゼネラルコーディネーター
野村 政之氏
事業のポイント

ポイント①:助成事業による地域との関係構築

Q
信州アーツカウンシルの特徴や強みをお聞かせいただきたい。
A
 長野県の特徴として、毎年度の決算剰余金の一部を原資とする長野県文化振興基金を設置しており、これをアーツカウンシル設立・運営の安定的な財源として活用できることが大きな強みとなっている。また、意欲のある団体からの公募方式により多様な助成事業が採択されることで、県内のどの地域にどういった課題をもって活動している担い手がいるのか、といった情報のリサーチもでき、より多くの団体や担い手との連携・協働に繋がっている。

ポイント②:寄り添い型支援で専門人材と地域の担い手の双方を育成

Q
アーツカウンシルの活動において重要なこと、意識していることは。
A
 文化芸術の担い手への「寄り添い型支援」を通じて、活動の現場に出向いて同じ経験を共有し、新たな視点から提案や助言をする中で専門スタッフも多くの経験を積ませてもらっている。徹底的に現場目線で、どうしたら持続的な活動につながるか、助成がなくても活動を継続していくためには誰と連携していくべきなのかなどを一緒に考え、常に事業者の目線で伴走することが重要である。
 行政にはよくある話だが、相談に対して受身の姿勢でいることがある。そもそも資金を出している側がその地域の実情を知らないまま事業を進めていくのは良くない。こちらから現地に赴いた方が何倍も効果的に事業ができると思う。
 また、専門スタッフの育成に関しては、事業者の信頼を得るために現場に足を運ぶ回数を増やすこと、助成金を交付する立場であるが謙虚な姿勢を忘れないこと、常に学ぶ姿勢を持ち続けることをスタッフ間で共有している。

ポイント③:地域団体との多様な繋がり方

Q
長野県では県内各地の民俗芸能の現場に立ち会って密接にサポートしているが、どのようにして民俗芸能の保存会を発掘したのか。
A
 県や市町村には文化財保護の担当課があり、そこに集積されている情報を参考にしている。「民俗芸能の宝庫」と呼ばれ、貴重な民俗芸能が今も数多く点在する南信州地域では、県の現地機関である南信州地域振興局、南信州の全市町村で構成される南信州広域連合、飯田市美術博物館の3者が事務局を担い「南信州民俗芸能継承推進協議会」を2015年に発足した。ただ、この協議会だけではリソース(資金・人・機会)に限界があるため、信州アーツカウンシルとも協働しながら進めることになった。南信州ではこの協議会の取組があったことが重要な要素で、県の機関である南信州地域振興局が緊密に連携し、取組を進めている。
 また、助成事業においても地域の民間団体を支援しているため、助成金に応募してきた団体と関わる例もある。色々な活動を通してつながりができるので、そこからもう一歩踏み込んで調査していくことが多い。

ポイント④:民俗芸能や社会包摂、環境問題など他分野との連携

Q
民俗芸能に限らず、障害福祉や環境分野など他分野との連携事業をされているが、県の方針が反映されているのか。また、他分野の発掘や連携はどこにどのように働きかけているのか。
A
 県と信州アーツカウンシルでは、第2次長野県文化芸術振興計画に基づき、文化の視点であらゆる分野への波及効果・連携強化を進め、文化の価値を高めていくことで県民全体の暮らしがゆたかになる、という共通認識のもとで、文化政策を推進している。とくに県はアーツカウンシルに対して、文化芸術と他分野とのつなぎ役になってもらうことを期待している。伝統文化の継承をはじめ、環境や教育や福祉といった分野との連携も意識しながら、県の施策の方向性にアンテナを高く持ち、アーツカウンシルとしてどういう関わりをもつことが県全体にとってもよいのかということを念頭において事業を組み立ててきている。
 長野県では、官民連携を促す様々なプラットフォームが各部局で立ち上がっており、まちづくり分野における「信州地域デザインセンター(UDC信州)」、環境分野における「くらしふと信州」、観光DMOとしての長野県観光機構などがそれに当たる。
 文化芸術創造拠点形成事業の一部である「信州アーツクライメートキャンプ」は、信州アーツカウンシルとくらしふと信州がほぼ同時期に立ち上がったという縁もあり、一緒に取り組めることがあるのではとお互いに声かけして始まった。官民連携で取り組んでいかなければならないという課題感は同じであったし、お互い県行政の方向性等への理解度が深いことも推進力が生まれた要因のひとつかもしれない。
 信州アーツカウンシルは、県全体としていろいろな課題がある中で、文化の視点で何ができるだろうという考え方をしているので、県にとってもアーツカウンシルは一緒に取り組んでくれるパートナーと思っている。

※委託事務局が団体にインタビューした内容をもとに再構成しています
※事業内容、体制等はインタビュー当時の情報です
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